リウマチは、女性に多い疾患でしかも好発年齢は20~40歳代に集中していることからその性生活への影響を考える必要が出てきます。しかし、性の問題って大きな声で話せないものですし、まだまだタブーになっていたりしてなかなか話題にできませんよね。
きょうは、リウマチ患者さんの「性の問題とケア」についての文献をご紹介しましょう。
紹介させて頂くのは、ナース専科という雑誌に「関節リウマチ患者が抱える性の問題とその対応(NURSE SENKA, Vol25,No8)」という記事で吉野槇一先生が書かれた記事です。
この記事によりますと日本リウマチ友の会が2000年に実施した調査1)で「関節リウマチの発症で夫婦生活が困難になった」と回答した人は14.6%いたということです。
リウマチは関節の痛みがいつもあり、性交時には、身体的な制限がおこることで性生活に十分な姿勢がとれず苦痛であったり不安になったりがおこると思われます。
また吉野先生の報告2)では、発症初期には発熱や倦怠感など体力の低下が著しく気力も減退し、初期うつ状態や性欲の減退も起こりやすいということです。わたしがかつてリウマチに関して文献学習したときも数件の海外論文に発症から2年くらいまではうつになりやすいことが書かれていました。
楽しく過ごす、なるべく気に病まない生活を心がけましょう。
自分がうつっぽいと思ったら気分転換したり、誰か信用できるひとにつらい気持ちであることを打ち明けましょう。すこしだけすっきりするでしょう。
吉野先生の調査報告では、夫婦の性生活の満足度に関して患者さんは69人(77.5%)が「満足」しているのに対して配偶者は34人(38.2%)という結果であり夫婦間でかなり食い違っていたということです。配偶者のリウマチは夫婦の関係にも影響すると言うことですよね。配偶者の方には、相手へのいたわりを忘れないで、そして一緒に性生活を楽しむということをしてもらいたいです。自分のことしか考えない性はだめですよ。
リウマチ患者さんの円滑な性生活のための体位の工夫(吉野先生の記事より引用)(PDF)
リウマチ患者さんにとって結婚・妊娠・出産は大きな関心事といえます。病気になったからといってこれらをあきらめる人もいるかもしれません。
しかし、最近では、妊娠・出産することが可能です。
その際には、リウマチ専門医にきちんと自分の意志を伝え、方法を選択することが必要です。リウマチ専門医と産婦人科医との連携がとれていることも重要です。診療を受けるときには自分の状態や注意して欲しいことをはっきり伝えましょう。
なかなかはっきり医師に伝えられない人が多いと思います。でもご自分の体なんです。責任を持ちましょう。短い時間内でうまく伝える自信がない場合は、メモに書いて行きましょう。また配偶者や友人など連れて言ってもよいのではないでしょうか?
1)社団法人日本リウマチ友の会編:2000年リウマチ白書―リウマチ患者の実態(総合編), 流211,SSK1673号,p.29. 2)吉野槇一:関節リウマチ患者の性生活, 総合リハ, 23(10), p.861-864, 1995.
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