最近、リウマチの治療には生物由来の医薬品、つまり生物学的製剤(日本ではエンブレルとレミケードが認可されています)が薬物治療に用いられるようになり、その効果が今後期待されるところです。
しかし、一方でその使用時には重篤な副作用に注意する必要があります。
きょうは、この副作用のうち肺炎・肺結核とその早期発見についてお話ししましょう。
生物学的製剤は、リウマチの方々にとって画期的なお薬です。
これまでのリウマチの薬物療法は、痛みや炎症に対する対症療法が主でしたが、RAの免疫を司る物質「サイトカイン」に、直接作用させ炎症そのものを阻害しようというものです。
でも効く薬は昔から「諸刃の剣」といって副作用も大きいものです。
使用されている方はこの副作用については十分な説明を受け、ご注意もされておられるでしょうが、この寒い季節には風邪等をこじらせる場合もあります。ご注意下さい。
治療のために免疫力をわざと落としている皆さんは肺炎・肺結核には要注意です。
【肺炎】
症状
せき・発熱・悪寒・胸が痛いこともある・呼吸困難・痰とほぼ風邪と同様の症状なので区別がつきにくいです。
胸が痛い・浅くて速い呼吸(20回/分以上)・頻脈(100回/分以上)・呼吸困難などは風邪ではあまり出現しないからこういうのがあると要注意ですね。
また、風邪が治る傾向がないと思ったら早めに受診しましょう。
レントゲン:肺炎陰影(もやっとした影)
血液検査:白血球↑・好中球↑・炎症所見・血沈↑
血液検査は病原菌を特定し適切な抗生剤を使うためにも行います。
【肺結核】
リウマチの方々は生物学的製剤の他、抗リウマチ剤・ステロイド・免疫抑制剤なども利用しているため懸かりやすい病気といえます。
症状
原因不明の熱とくに微熱
咳や痰が続く
胸痛や呼吸困難
寝汗
食欲不振や痩せ
喀血や血痰も症状ですが初期には出にくい
レントゲン:肺結核には特有の像が出るのですが初期にはわかりにくいです。
しかも、私の臨床体験からですが若い医者は結核のレントゲン像をあまり見たことがないので誤診する可能性があります。昔流行った病だからかえってお年を召された先生の方が結核治療の経験が豊かだったりします。)
ツベルクリン反応:注射して48-72時間以内で判定します。
痰や血液から結核菌が検出される。
結核といえば肺結核が代表的ですが実は肺以外(胸膜・リンパ・脊椎など)の結核もあります。
若いときに結核になったことがある人は再燃する可能性があります。
風邪だと思って治療していてお薬を飲んでいても全然効かないと思っていたら結核だったということもあります。
実は、結核は日本が一番多い国だって知っていました?しかも大阪が多いのだそうです。わたしは大学が大阪なので学生の時に公衆衛生の授業でたくさん結核について学びました。昔に比べて沈静化していますがまた最近増えつつあり注意が必要な病気です。
予防方法や対処の知識を増やしておきましょう。
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